7月1日、対馬グリーンパークから国境の町、比田勝を目指す。
南東の風が吹き追い風で順調に進む。断崖絶壁の海岸線を楽しみながら進む平和なカヤッキングだった。海水は透き通り美しい。しかし岩に海藻がない。磯焼けの影響だろうか。
16:00頃比田勝の北にある美しい白砂の浜、三宇田ビーチに到着した。60kmの行程。ビーチでは韓国の学生だろうか?若い男女がハングル語ではしゃいでいた。浜で遊んでいる大多数の人は韓国人。まるでもう韓国に来てしまったかの錯覚を受ける。
東屋で濡れた装備の片づけなどをしていると黒いスーツを来た二人組の男がニコニコしながらやってきた。新聞記者かなにかと思っていると警察官だった。
海上保安庁から連絡を受けたとのことで取り調べ。後に海上保安官も2人やってきた。こちらは分仏調面。適当に世間話をしていると今度は小太りの男性がヤアヤアとやってきた。
「脇本といいます。対馬市議会議員をしていますが三原さんから連絡があってやってきました。」
ああこの人と知り合いなのかと言った感じで警察官と海上保安官は話もほどほどに帰っていった。
三原さんというのは山口県の大島商船高専の三原名誉教授のことだ。山口では夫婦ともどもお世話になっており三原教授は対馬の出身だったことを妻から知らされてはいた。
しかし出発でゴタゴタしており連絡することをすっかり忘れていた。しかし出発前に朝日新聞と毎日新聞が取り上げてくれたおかげで三原先生の耳にも僕達の話が届いた。そうしてたくさんの対馬の人の知り合いに三原教授自らが既に連絡をしてくれていたということだった。
三原先生のお兄さんも比田勝に在住されており夜は脇本市議と三原先生のお兄さんに招かれ寿司屋での豪勢な夕食となった。
美しい対馬の海ネットワークで活動される二人からはいろいろな対馬の近況が聞くことができた。大陸からの楯のような存在である対馬の海岸の深刻な漂着ゴミ 問題。元寇・倭寇から日露戦争にかけてまでの対馬の歴史。日本の領海の中でも唯一外国との領海争いのない平和な国境線を共有しているのが対馬なのだという 話を聞いて妙に納得してしまった。
韓国の大学生と共同で行う日韓海岸清掃フェスタや、国からの多額の予算を利用して海岸清掃も継続的に行っている。しかし冬の北西風ではるか山の上のほうま で飛んで木々に絡まっている発砲スチロールなどのゴミは手の施しようがないとも。ロート製薬と共同してプラスチックの巨大な油化装置の開発も手掛けている ということだった。
対馬中部の浅茅湾でカヤックツアーの開催している上野さん達も一緒に活動しているということで正に官民共同での取り組みが行われている。それにもかかわら ず膨大な漂着ゴミがまだまだ海岸から消えることはない。ボランティア清掃を行うと、補助金で清掃をする人々から(ゴミの量による歩合制での支払い)ゴミを 拾うなとの要請もあることを聞いた。
後日対馬エコツアーの上野さんから聞いたのだが子供のころは海岸に全くゴミがなかったのだそうだ。この50年間で人間はどれだけ海岸線や海を汚染させてしまったのだろうか。その罪深さを僕達はよく考えなければならない。
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